“あのとき、あの場所”
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誰でも思い入れがあるものの
一つや二つはあると思いますが
私は、モノではなく場所と時間に
心を置いてくることが多いです
住んでいた場所や よく行く土地の
季節毎に街が魅せる美しさや匂いに
胸をグッと掴まれます
大好きな祖父のアトリエの木の匂い
(引退してから彫刻が趣味でした)
春一番、太陽が輝きを増した日に
明るい色の服に身を包むパリの住人
真夏の炎天下で飛び込む
南イタリアの濃い塩水の心地よさ
夜のフライトで飛行機から見る
ソウルの街に溢れる沢山の十字架
同じ場所に行っても もうその頃とは
同じ感性で味わえはしないのだと
胸が締め付けられるような気がして
だから、特別な何かを感じたら、
立ち止まっても、時間がかかっても、
しばらくはその余韻に浸りたいのです
その感覚はもう二度と戻らないから
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